設計のコンセプト

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 土間のある我が家を再現したいという事で、今回のテーマは「リフォーム」と言うよりも「復元」でした。なかなかそれに戸惑い、方向性をつかみかねた事もありましたが、K様と打合せを重ねるうちに、「この家を残し、誰かに受け継いで欲しい」というお気持ちが少しずつ理解できるようになりました。戦後お姉様に受け継がれ、子育てのために個室や台所を仕切り、新建材で「現代的に」改造された古民家の復元……。打合せの度に昔のたたずまいを懐かしそうに話されるK様には、この家で暮らした御家族への強い思いがあったように思います。

 こうした復元の作業は、私にとっても改めて古民家のリフォームを考える良い機会になりました。例えば、古民家とガラスは馴染まないものと単純に考えていた私にとって、それでも再利用したいという古いガラス戸へのK様のこだわりに内心反対していたのですが、ある時、大正から昭和の初めに一般住宅の中に「ガラス」が持込まれ、流行した時代があったことを知る機会があり、当時のガラスへの新鮮な驚きと感動の中で、生き生きとデザインされた建具だった事に改めて気付かされたりもしました。その意味でも、使われずに埃をかぶっていた古い家具も修理再生し、履物入や食器戸棚として積極的に利用することになりました。

 K様には仕事というより感謝の気持でいっぱいです。

設計:風間滋(一級建築士)