K様邸は、ご夫婦お二人でこれからの暮らしを
ゆっくりと愉しんでいただくための、終の棲家となる平屋のお住まいです。
建物面積は69.56㎡、約21坪。
必要なものをコンパクトにまとめながら、これから先も安心して、
快適に暮らしていただける住まいを目指して計画しています。
そんなK様邸の棟上げを行ったのが、7月28日。
そうです。
まさに「令和8年熊本地震」が発生した、その日でした。
まさか、この直後にあれほど大きな地震が起きるとは、
この時は誰も想像していませんでした。
今回は、そんな忘れることのできないK様邸の
上棟日の様子をご紹介したいと思います。
まずは朝一番、工事を始める前に全員で記念撮影。
K様ご夫妻と、今回の現場を担当する松下棟梁をはじめ10人の大工さん、
そして設計を担当した若松さんです。

着工にあたり、まずはお施主様からご挨拶をいただきました。

これまで図面や模型で見てきた住まいが、
この日からいよいよ実際の形になっていきます。
上棟の日は、私たちにとっても特別な一日ですが、
お施主様にとってはなおさらのこと。
家づくりが大きく前へ進む、記念すべき日です。
そして、いよいよ棟上げのスタートです。
作業を始める前に、お施主様に建物の四隅を御神酒で清めていただきました。
工事が無事に進み、末永く安心して暮らせる家になりますように。
そんな願いを込めて行います。

続いて、最初の柱を建てていただきました。

普段は大工さんが行う作業ですが、せっかくの上棟ですので、
お施主様にも家づくりに参加していただきます。
ご自分の家の最初の一本を建てる。
きっと、よい思い出になっていただけたのではないでしょうか。
その後は、大工さんたちの出番です。
柱を建て、梁を掛け、次々と構造材を組み上げていきます。

朝には基礎しかなかった場所に、みるみるうちに家の骨組みが現れていきます。
何度見ても、棟上げの日の大工さんたちの仕事には驚かされます。
一人ひとりが自分の役割を理解し、声を掛け合いながら、
ほとんど迷うことなく作業が進んでいきます。
まさにチームワークです。
そして午後2時頃。
お施主様に「棟飾り」を取り付けていただきました。

無事に棟が上がったことへの感謝と、これからの工事の安全を願います。
この頃、私も現場に立ち寄っていました。
時間は午後2時30分頃だったと思います。
いつもの上棟と変わらない光景でした。
大工さんたちが屋根の上で作業を進め、現場監督が全体を確認しながら、
少しでも早く屋根の防水まで終わらせようと作業を進めていました。
K様邸は「外張り断熱」を採用しています。
屋根面には、アキレスの「Q1ボード」という断熱材を施工します。
外張り断熱は、柱や梁などの構造材の外側から建物を
すっぽりと断熱材で包む方法です。
アキレスの「Q1ボード」

さらに、その上に通気胴縁を取り付けます。
そして厚さ1.2センチの杉の野地板を張り、
防水のためのアスファルトルーフィングを施工します。


屋根は、このルーフィングまで施工して初めて、
ひとまず雨から建物を守ることができる状態になります。
その上に瓦桟を取り付け、最終的には陶器瓦を葺いていきます。
今回採用するのは三州の防災瓦。
台風などの強風でも瓦が飛ばされにくいよう、
瓦は一枚一枚、すべてビスで固定していきます。
熊本では地震だけでなく、台風への備えも欠かせません。

そして工事もいよいよ終盤へ。
屋根全面のアスファルトルーフィングを張り終えました。

この写真を撮影した時刻が、
16時19分。
このあと、大工さんたちが屋根から降り、
ようやく一息ついた、その直後だったそうです。
突然、地面が大きく揺れ始めました。
地震発生は、
16時27分。
16時19分に屋根の防水を終え、そのわずか8分後です。
もし作業がもう少し遅れていたら、、、
屋根の上には、まだ多くの大工さんが残っていた可能性があります。
強い揺れの中で屋根の上にいたと考えると、本当にぞっとします。
地震発生後、現場は騒然となったようです。
揺れが落ち着いたところで、現場監督の荒木君が建物を確認。
柱や梁、接合部など、構造の骨組みを一つひとつチェックし、
建物に被害がないことを確認しました。
もちろん、何より大切なのは人の安全です。
幸い、大工さんをはじめ現場にいた全員に怪我はありませんでした。
今回の地震は、私たち建築に携わる者にとって、
改めて「家をつくる」という仕事の責任を考えさせられる出来事でもありました。
K様邸の上棟は、
これから先も私たちにとって忘れることのできない一日になったと思います。
工事はまだ始まったばかりです。
今回、全員が無事だったことに感謝しながら、
これまで以上に安全を第一に、
K様ご夫妻の終の棲家を一つひとつ丁寧につくってまいります。




