- 一般社団法人 日本住宅リフォーム産業協会(ジェルコ)リフォームデザインコンテスト 2015全国大会
- 全国優秀賞戸建全面「~凛とした佇まいで和モダンを愉しむ~二世帯のための古民家再生プロジェクト」
施工情報(菊池市S様邸)
構造 | 木造2階建て |
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工事床面積 | 223㎡(67.6坪) |
築年数 | 120年 |
家族構成 | 夫婦+子ども3人+父母 |
設計のポイント
ご主人の御両親との同居という2世帯住宅です。共同生活をあまり強要せず、それぞれの御家族が独立した生活空間も持ちながら、家族としての暖かい触れ合いもその時々で自由に選択できる様な「ちょうど良い距離のプラン」をテーマとしました。かつて、この歴史ある住宅の中心であった御座敷は、冠婚葬祭の儀式の部屋としての昔の面影を残すと共に普段は御両親の居間(サブリビング)としても使っていただこうと考えました。耐震補強・断熱性能の向上、そして古民家の魅力でもある架構の豪快さや建具の繊細な美しさも再生され、積極的にインテリアに活かされています。
お客様の声
リフォームのきっかけを教えてください
リフォームした家は私の実家です。私たち家族は家を出てアパートで暮らしていたんですが、ちょうど長男が高校受験を迎えるに当たり、勉強の出来る環境を作ろうと実家の隣に30坪くらいの家を建てる計画をしていました。ところが、同じ時期に実家の方でも水回りをリフォームしたいという話があり、その新築とリフォームの予算を合わせるとかなりの額になります。また、父は現在70歳で元気なんですが、これが10年、20年経って、実家と私の家の2軒を維持することになると、ちょっと大変です。そこで、思い切って実家をリフォームして2世帯同居をすることに決めました。
以前のご実家はどんな状態でしたか?
築110年の日本家屋です。確か数十年前に水回りだけリフォームしましたが、昔ながらの広い土間はそのまま残っていました。和室中心の間取りで、仏間と2間続きの和室があったんですが、ただ広いだけで最近は殆ど使っていませんでした。また、昔の造りなので冬は寒くて暗くて、家の中でも外着のジャンパーが必要なくらい。あまりにも寒いので、冬は子どもたちが実家に行くのを嫌がるほどでした。
業者はどうやって探しましたか?
最初は知り合いの業者さんや地元の会社に片っ端から電話をかけました。でも、ほとんどの業者さんから無理だとか、リフォームするよりも建て替えの方が安い、新築の方が良いと言われてしまいました。今考えると、古民家のリフォームをやったことのない会社だったから、分からないと言われたんでしょうね。後から知人の設計士に話しを聞くと、新築の家しか建てたことのない会社はリフォームの経験がないのでどうしても高くなるし、技術の良し悪しもやってみないと分からないとのこと。なるほどなと思いました。
三友工務店はどうやって知りましたか?
インターネットで「熊本」「古民家再生」で検索したところ、一番に出てきたのが三友工務店さんでした。電話では社長さんが対応してくださり、建て替えた方が良いのか、リフォーム出来るのかの判断は、家を見てからでないと分かりませんと言われ、それもそうだと思い、誠実な会社だなと感じました。実際に家を見てもらうと、梁などの材も充分に残す価値があり、リフォームは可能だと言われました。見積もりを出してもらい、この金額で出来るのなら三友工務店さんにリフォームをお願いしようと決めました。新築もリフォームも経験があり、古民家再生の実績も数多くあるので安心してお任せできました。
どんなリフォームを希望されましたか?
築110年の太い梁をそのままインテリアとして活かし、土間だった部分は広さを残して玄関ホールと廊下に改修。昔の面影は出来るだけ残すように、壁は漆喰にして、イメージは料亭や古民家カフェのような感じです。全く使っていなかった2間続きの座敷は、仏間だけ残して、半分はリビングとして使えるように。
2階は子ども達の部屋です。また、2世帯同居なのでトイレは親世帯、子世帯のそれぞれに設け、両親の部屋にはミニキッチンも作りました。あと、うちは畜産農家なので、家の裏に作業着のまま入れる浴室直通の土間を作ることで、洗濯した服に着替えてから家に入れるようにしてもらいました。収納も必要な場所に多めに作っています。
三友工務店からの提案はいかがでしたか?
間取りはばっちりです。大工さんも腕の良い職人さんが揃っていて、何の問題もありません。平面図ではピンときませんでしたが、実際に家が出来ていく様子を見ていると、この部分はこういう風になるんだなというように一つひとつが感動的で、まるで子どもの成長を見ているようで楽しかったです。毎日現場を見に行って、その都度質問をしたり、注文をつけたりしましたが、嫌な顔ひとつせず快く受け入れてくれました。設計の風間さんにもよくしてもらいましたが、一つだけ。2階に隠れていた3段の梁を現しにしてもらい、その屋根勾配を活かした吹き抜けをイメージしていたんですが、風間さんの設計では天井がフラットになっていたため、私が現場の大工さんに直接頼んで勾配天井に直してもらいました。その後、風間さんが現場に来てびっくりしたようです。
現場で色々と追加で注文を入れたので、風間さんや大工さんからは「追加になりますが大丈夫ですか?」と心配されましたが、前に中途半端にリフォームをした家を見たことがあり、どうせやるなら納得いくまでしっかりとやりたい。変なところでお金を渋って中途半端にはしたくないと思っていたので、その点は惜しみなくやりました。金額はやはり当初の見積もりよりも高くなりましたが、その分、納得のいく良いリフォームが出来たと思っています。
実際の住み心地はいかがですか?
快適です。特に玄関ホールは、勾配天井に太い梁が現しになった様子がしっとり落ち着いた和風旅館や料亭のようで、訪れた人はみんな驚きます。特に前の家を知っている人は、あの家がこんなに変わるなんて、と口々に言いますね。オール電化は、最初はどうかなと思っていましたが、慣れてくるとすごく便利で、今ではガスよりも使いやすいくらいです。
気になることと言えば、昔の家は軒が深いので、窓は多いんですが、ちょっとリビングが暗いのが気になります。玄関との間の壁に明かり採りの窓があれば良かったかも知れません。また、両親の部屋にミニキッチンを作ったんですが、結局はみんなでダイニングに集まって食事をするため殆ど使わず、これは要らなかったかなと思っています。
新しい家になってから、とにかく子ども達の友達が遊びに来たがって、毎日が賑やかです。断熱材も入れてもらったので、今年の冬はどれだけ暖かく過ごせるのか、それが楽しみです。ありがとうございました。